経営幹部の問題:東芝不適切会計2015年07月10日 13:44

<東芝不適切会計>社長が幹部にメール、電話で圧力

この記事では、「田中久雄社長が同社幹部などに対し、業績改善を強く促すメールや電話」、「前社長の佐々木則夫副会長も同社関係者に業績改善を強く求めていたことが明らかになっており、既に取締役を退任する方向で最終調整している」とあり、経営トップの社長の強引な要求が、今回の不適切会計の原因だとしたいように見えます。

私はこの視点に疑問を感じます。社長が要求したから、売り上げや利益が簡単に上がるものではなく、この要求に応えたように不適切会計をするという手段を幹部が採るだろうか? そして、財務部や監査委員会が不明瞭な部分を見逃すことに手を貸すだろうか? まあ、ここら辺が会社ぐるみで行われた場合に、会計監査会社がトリックを発見するのはかなり困難だと言うことは分かるのですが。。。。

社長が業績改善を幹部に指示するのは別におかしく思いません。かなり叱咤されたとしても、幹部はそれを受ける立場にあります。 では、その要求に対する可否の説明を社長が聞き入れたかどうかは問題ですが、出来たようにするための不適切な処理を考え出したとしたら、問題は幹部と、それをチェックできなかった財務部や監査委員会の問題のほうが大きい事になります。

もし、ここに出てくる幹部に役員が入っているとしたら、社長の暴走を止める取締役の責務を果たして居なかった事になりますので、経営幹部の責任が大きいと思うわけです。

第三者委員会が、社長や前社長の責任で幕を引くとしたら、東芝のガバナンス問題は改善されないでしょう。 東芝の公表しているコーポレートガバナンスは、東証上場企業の雛形と殆ど同じで、形はあっても人は付いていって居ないかもしれないという感じを受けます。