ソフトバンクは大丈夫か?2016年07月19日 19:01

ソフトバンクが巨額買収 英社を3.3兆円、IoTで成長

英の半導体設計大手アーム・ホールディングスを約240億ポンド(3兆3000億円強)で買収すると発表した.。この買収により ソフトバンクグループは16年3月末時点で、自己資本の4.5倍に相当する12兆円弱の有利子負債を抱えるということで、更に3兆円以上の買収とは、大冒険だ。

この冒険が役員会ですんなり通った事が驚きだ。所来の社長候補とされていたニケシュ・アローラ前副社長が退任したのは、彼がいるとこの買収が成立しなかったからではないかと勘繰りたくなる。

アーム・ホールディングス社は買収に値する技術力を持っているのは間違いないが、その買収成果を出す前にソフトバンクが経営難に陥る可能性も、これだけの借金を抱えていると否定できない。

孫氏は、買収によってビジネスの拡大をしてきている。それは時間を金で買うという意味では間違っていないが、買収した会社、事業がすべて成功しているわけではなく、足を引っ張ている点も考えなければならない。つまり、資金回収しようと買収した会社を売るとしても、価値が低下して損を出すことも有る。

もし私がソフトバンクの社外取締役で有ったなら、借金の返済と買収について明確な回答を求めただろう。

三菱自動車の虚偽はなぜこんなに続くのか?2016年04月20日 17:55

三菱自、燃費試験での不正を発表 日産自の指摘で発覚

またもや三菱自動車ですか?何度もリコール隠しでイメージダウンを経験し、社長もその間に交代しているのに問題を払しょく出来ていないのには驚きです。

三菱=スリーダイヤモンドのブランドの面汚しも甚だしい。なぜこうなってしまったのか?一時はランサー、ミラージュ等が売れていたのに。

問題は三菱重工から三菱自動車に独立した事が遠因にあると考えます。ロケット、日本最初の民間ジェット旅客機のプロジェクト、船舶、軍事向けなど技術が求められる三菱重工では考えられない問題でしょう。

自動車部門だけを取り出した時に、ほかの自動車メーカと同様の売れるものを作る会社になってしまったのだ。これが三菱重工の自動車部門として、欧州高級車のような高くても差別化されたものを売っていた方が良かったと思われます。

競争の激しい量販モデルが無理を重ねる事となったのです。

このままのイメージダウンでは、更に苦境に立たされると思いますが、再生の道は、三菱の総力を上げて、高級車や次世代車を選択する事だと考えます。

スズキはどうなって行くのか?2016年03月26日 12:38

軽自動車の雄・スズキの「迷走」~カリスマ経営者・鈴木修会長も老いには勝てぬか という記事、書き出しは「インドで生産した逆輸入車をスズキが販売」する事についての鈴木会長のコメントで、日本の自動車メーカーとしては初めての試みに対して、この記事の筆者井上 久男氏は、鈴木修氏の健康問題や冷徹な人事、後継者不足、トヨタ等の支援が無ければ経営不安と結び付けており、 インドで生産した自動車は駄目に決まっている、それを強引に決めた鈴木会長を強力に否定しています。

鈴木修氏のワンマン経営ぶりは業界では有名であり、スズキを売上高3兆円の企業に一代でしたその手腕は高く評価されるべきでしょう。

経営者はまた引き際も重要で、ワンマン経営者であっても老害になってはいけない。会社のことを考えるのであれば、口を出さずにすべてを任せるしかないのです。

この記事では社長の長男・俊宏氏について、「大企業を引っ張るリーダーシップには欠ける」として、否定的ですが、その例が修氏が「たぬき親父」、「腹芸」が出来るからと、町工場の親父を自負していた前時代的経営手法を評価しています。

その手法を否定するものでは有りませんが、時代が変わり、グローバル化した3兆円の会社の経営手法は変わっても良いはずで、この記事は糞も味噌も同じにしてしまって、さらに経営問題にまで拡大解釈をしています。

インド製の自動車を販売する鈴木会長の論理は明確で、経営的には納得できます。それが成功するかどうかは別ですが、現時点では最良の選択肢です。また、失敗してもスズキの経営が傾くほどの規模では有りません。

こういった、記事を読むのは、事実と論理的構成を見極めて、ニュートラルな判断をする必要が有ります。

私は、この記事は悪意が込められた構成であり、トヨタとの提携を含めてスズキは適切な判断と経営を進めると思います。

何周年記念で無理をして苦境に陥る会社に気をつけろ2016年03月24日 10:18

企業経営者は、自分が社長の在任中に創立10周年とか50周年等の区切りが来ると、売上げなどで思い切り背伸びをした花火打ち上げの発表する会社を時折みかけます。 そして、そういった企業の半分以上が、その後約3年以内に大きな苦境に見舞われているのです。 そういった意味で、パナソニック 100周年で無理をしない、と言う判断は賢明だと思います。

パナソニック、売上高目標「10兆円」を撤回

花火を打ち上げた後で苦境に陥りやすい原因は明確で、高度成長期でもない今は、売上げ拡大は新商品投入、海外市場の拡大や競合他社からのシェア奪還をしなければなりませんが、企業は普段からこの活動をしている訳で、更なる上乗せは需要の先食いを生み、結果として息が続かなくなるばかりでなく、大幅減少に繋がるからです。

こういった事を避ける為に、何周年を迎える経営者は、ブランドイメージアップ宣伝、記念限定モデル、従業員や株主への還元等に留めるべきでしょう。

トヨタのカンパニー制の行方は?2016年03月03日 18:50

「人材配置」「組織変更」について016年02月29日に投稿しました。それから数日後にトヨタ、新体制へ移行、製品軸に7つのカンパニー制導入が今日発表されました。

「ストレス」の話とは離れますが「カンパニー制」を組織に導入して成功した会社が余りないので、その難しさを説明したいと思います。

大企業の組織は、「事業部制」と「本部制」が多いのですが、どちらも正解ではありません。これをうまくミックスする必要が有り、それは「カンパニー制」では有りません。

「事業部制」はメーカーが作る商品単位を1つの事業として組織されます。 メリットは事業単位を企画から販売まで一貫して扱う専門性の高さです。 デメリットは、例えば5つの事業部が有ると仮定した場合、事業部はそれぞれが出来るだけ多く売って貰いたい。しかし、市場ではA、B事業の需要と競争力があるが、C,D事業の需要は低く、E事業は儲からないというケースが多々あり、市場で売る責任者はその会社で売れる、儲かる事業に注力したいのだが、C,D事業のついても本社から売るように指示され、市場性と経営のリソースが合わない点の考え方です。

「本部制」は技術、製造、販売などの機能で括った組織です。 メリットは上記と異なり、市場の需要や競争力にあった販売活動が可能となる事です。 デメリットは新しい事業への拡大が疎かになりやすく、技術革新で他社に後れを取ると、挽回が困難な点です。

どちらも、事業横断の組織と調整機能が無いと、社内の部門間の壁が総合力を削いでしまう事でしょう。

「カンパニー制」のデメリットは、1つの会社として総務や人事機能やシステムを持つ為に、中間部門のコストが高くつく事と、更にカンパニー間の壁は高くなり、人材の流動性も低下します。 或る人はAカンパニーよりBカンパニーの仕事をやりたいと思っても、そう簡単ではありませんし、人事評価もカンパニーの力によってばらつく可能性も出てきますので、不公平感もあり得ます。

トヨタほどの会社ですから、これらを分かったうえでカンパニー制を成功させるでしょうが、一般的には未だ成立していない組織だと考えます。