人材配置だけではないストレス防止2016年02月29日 19:14

人材配置を誤るとストレス社員が急増するという記事、参考になる部分と、不足部分があると感じたので、ここに書く次第です。

ここで出てくるのは「適材適所の配置」と「仕事の裁量の自由度を上げる」ことでストレスの深刻化を防げるという事です。

『人材配置」について、適材適所は理想でしょうが、多くの部署を持ち、受け入れる余裕のある企業はかなり限られるでしょう。また、それで部署人員に大きな偏りが発生したり、自分が適正と思っているが、要求されている能力がそろわない等のリスクも有りますので、経営者も人事担当者もパズルを解くような作業が必要となるでしょう。

私は配置された人材に対して、業務上それぞれの得意と不得意なところを把握し、Aさんが不得意な部分を得意なBさんが補完するようにしてチーム全員が得意分野を追求できるようにしました。これは不得意を得意にさせるのはストレスが溜まるばかりで、実際無理だという経験則から来ています。

また「人材配置」よりも経営陣が注意すべきは「頻繁な組織変更」です。業績が良くなかったり、役員の変更に合わせたりして、煩雑に組織を変更するのは、関連した異動も伴って、社員へのストレスでしかないのです。組織構成に正解は無いですから、最低3年程度は同じ組織を維持し、その後必要な変更を行う方が良いでしょう。

「仕事の裁量の自由度を上げる」グラフで、右上がストレスを防いで活躍するのに良いのでしょうが、右下のエリアを含めたすべての人が役割として必要ですから、どうしたら良いのかを考えなければなりません。

右下のエリアの人に対しては、ここでの業務遂行によって右上の業務へのステップアップ、キャリアアップの道筋を準備して、モチベーションを維持してもらう必要が有るでしょう。

ストレスの無い世界を考えているようですが、仕事=ストレスです。重要なのは、前にも少し書きましたが、ストレス耐性を強くするとともに、ストレスとうまく付き合って行く提案や相談に乗る方が現実的だと思います。

就活「大学名差別」例外の大企業有り2016年01月18日 19:41

就活「大学名差別」の赤裸々な実態 心の準備が整うまで読まないでください

当社(東証一部上場、売り上げ1兆円+)では当てはまりません。 これを書いた石渡嶺司氏は、どこまで調べたのか、例外があることを気にしなかったのでしょうか?

私は営業部門にいて長年採用面接へも協力したので良く分かっていますが、当社ではグループ面接位までは面接官に出身校のデータを人事部は見せてくれません。応募者の自己紹介も学校、学部について、言う必要は無いと最初に説明していて、そこで学校名などを言う応募者は如何にも学校名に頼っている感じがして、採用したいと思わななくなります。

本社での最終面接でやっと、履歴書が面接官に配布される。しかし、学校がどうかを意識することなく、面接の受け答えで合否を決めて行きます。「人物本位」と言って良いでしょう。 最終面接の合否は面接した4~5人で意見を出し合って決める訳ですが、そこでも出身校を気にする人間はいない。

但し、そこまで来るには試験と面接でそれなりの成績が必要なのは間違いありませんが、学校はどこでもよい訳です。

当社の社内でも学閥は無く、業務の中で出身校に関する会話も当然ありません。人事データを見れば出身校が分かる訳ですが、見てもすぐ忘れてしまう(自分と同じ大学なら覚えているかもしれませんが)というレベルです。

企業の採用はいろいろの考え方があるので、大学によって差別するところも多いでしょうが、当社のように全く異なる会社も有ると言う事です。 これも企業文化の1つなんでしょうね。

東芝の不正会計と経営責任2015年12月27日 11:21

経営幹部の問題:東芝不適切会計 ― 2015年07月10日の投稿から5ヶ月経た今、16年3月期決算は約5000億円の最終赤字で、年間で1万600人にのぼる人員削減で最終(当期)損益は過去最悪の5500億円の赤字になるらしい。

<東芝>「もはや経営危機」自己資本6割減の衝撃 自己資本は1兆840億円あった。それが16年3月末に4300億円になる。1年で6割の大幅減だ。

ここではPLでの損益面と、BSでの資金量について言及しています。自己資本がマイナスになると言うことは借り入れが出来なければ倒産につながります。

一方、東芝の売り上げは6兆6千億円を超えていますので、非常に規模が大きい会社で、ちなみに日立は10兆円弱です。東芝は日立に追いつきたいとして無理をした結果が、経営者の暴走につながり、損失を隠し続けることで積み上がった赤字が今、白日の下に晒されたのです。

そういった経営状況を知らされることなく、一気にリストラの対象となった従業員は大変な目にあって、怒りのもって行き所も無いでしょう。

1万人程度のリストラをし、1年後には黒字化と言い始めましたが、5500億円にも上る赤字が不採算事業の停止や集中と選択のための事業の売却を含めても、1年で黒字になるとは思えず、堅実な3年での黒字化に向けた計画と実行の方が現実的であり、歪みも少ないと思われます。どうも日本の経営者は赤字になると1年で黒字にと言いたいようだが、再建計画というのはそれほど簡単に決まるものではない。

東芝の不正会計に関係したと思われる経営陣は、株主から訴訟を受けて巨額の罰金を払い、東京証券取引所からは監査法人を含めて罰金が科されますが、そこまでは自業自得で、職を失う従業員への保障は殆ど無いのです。

優良な会社であれば労働組合があり、団交で経営者から経営数字に基づいたベースアップや就労環境について交渉がなされるはずだが、東芝労組は何をやっていたのだろう。 労組として従業員を守れなかった問題は大きいと思うが、どのマスコミも取り上げてはいない。不思議なことだ。

企業経営陣による不祥事が起こる度に、再発防止で政府は規制を作るばかりで、実効性のないお題目に留まっている。問題のない企業も規制に合わせるための費用がかさみ、収益を圧迫される。これでは日本企業の競争力が上がる訳がない。

政府が多くの企業を監査する訳にも行かず、何のために監査法人が存在するのか、そのチェック機能が甘かったのが問題だ。ここでは監査法人の信頼性を上げる手立てを政府も考えるべきでしょう。

ストレス耐性は強かった2015年11月22日 10:45

社員の心の健康守れ ストレスチェック、企業が対策

ここ10年位でしょうか、仕事のストレスが問題化されてきました。 私は人よりもストレス耐性が強いと思います。 流石に社長を含む経営陣の前でプレゼするときは、準備にストレスを感じましたが、プレゼ自体がおかしくなることは有りませんでした。

なぜ強いのかを分析しましたら、性格もあるのでしょうが大きいのは; 1.学生時代に体育会系のクラブで、毎日トレーニングし、年数回試合に出ていたことです。 学業お重要ですが、部活は肉体的、精神的に強くしてくれます。試合中に不利になれば、ストレスが生じ、下手をすると自滅してしまいますから、それを乗り越えられる精神力を養わなければなりません。 先輩や同期部員に指導を仰ぎ、自分だけで悩むことなく、解決策を見つけられました。 2.会社に入るとアフリカ地域での営業担当で、一人で見知らぬ土地でビジネスをしました。 当時は成田からパリまで、アンカレッジ経由で19時間、そこから北部へは3時間、南部へは8時間と、移動だけでもかなり体力が必要です。 そして現地の空港について入国手続きを終えるまで、チェックが厳しいところは2時間ぐらい掛かりました。 ここでいくら騒いでも早くなるわけでもなく、諦めてのんびり構えるしかない。 ビジネスの相手先で交渉するにも、日本の1日で出来る事が、1週間ぐらいはかかる。リズムは狂うし、暑いので思考力も減退してくる。それでも何とか目的を達して、次の国へ移動する。 1回の出張期間が最短で1ヶ月、最長で2ヶ月だから、肉体的、精神的に強くなければ持たなかっただろうと思われます。 当時はインターネットもなく、情報は殆ど現地に行かなければ分かりませんでしたし、日本で何が起こっているかも分からない。余程大きな出来事が有れば本社からテレックス(死語ですね)で連絡が来るぐらいでした。 現地ではマラリアなどの病気のリスク、強盗や賄賂の要求、まともに食べれそうなものがない場所も多く、精神的に張り詰めた状況が続き、我慢を強いられたわけですから、ストレスはトップレベルに有ったと思いますが、それを克服する事でストレスを抑えられるようになったのです。 そう言った点で、日本は全く問題無い。上司や仕事の問題なんて簡単に克服できるようになるわけです。

全ての人に同じ事をやってストレスに強くなって下さいというのは無茶ですが、出来れば学生時代に体育会系の部活と学業を両立させた方が良いと思います。それは試合に勝つという共通の目的を持った、先輩、同期、後輩とのコミュニケーションが取れて、精神的に孤立する事も避けられると言うメリットもあります。 その経験は会社に入っても十分役立つと思うのですが、最近、採用面接をしていて、体育会系の部活をしていない人が多いことで、懸念を感じています。

後進育成が出来なかった経営者の問題2015年10月29日 16:08

公募も失敗、後継者が決まらない優良企業 「社内に適任はいない」と断言するユーシン社長 日経ビジネスの記事です。 1926年に創業され、東証一部の優良企業で従業員も8000人以上の企業の社長が、『「社内には社長の適任がいないことは長年働き振りを見ているのでわかる。社長の適正がある原石も見当たらない」と断言する。』 って、どれだけ恥ずかしいことか、感じていないのが信じられない。

そして『社長公募だった。急速な海外展開を進める中、新社長に求める条件は若くて英語が堪能なこと。年齢は30~40代で、365日、国内外を飛び回る体力を持つことなどが公募広告に明記された。年収は3500万円以上を提示した』、2名を社長・副社長で採用したものの、結局は『田邊社長のお眼鏡にはかなわなかった』。

この田邊社長は、会社の規模や利益を拡大する力が有ったから、優秀な社長と自らは思っており、公募して採用した人が物足りないと思っていたようですが、会社、事業継続を考えて、組織と後継者育成ができなかったのであれば、優秀な経営者とは言い切れない。

特に、長年一緒にやってきた社内に候補者が見つからないと公言するようでは、社員のモチベーションは低下するばかりだ。 そして、焦れば焦るほど、適切な人材の確保は難しく、外れを引く可能性も高くなり、経営にも影響してくるだろう。

私だったら、社内から3名の副社長を選び、それぞれ、財務・管理、技術、営業を担当させてトロイカ体制で、経営持続に破綻の無いようにする。 その後、この3人から社長を選出し、その部分を副社長を増やして充てる様にするでしょう。

田邊社長のように一人で出来る社長はそれ程多くないのです。経営陣の役割分担と組織の力の総合力で世代交代を含めて持続する事も有りです。 カリスマ経営者だったスズキの元社長が、やっと副社長から社長を選び退きました。これで投資家達は安堵しました。 それまでは、鈴木修 社長に何かあったら、スズキは企業としてどこまで維持できるか心配だったわけです。

完全な人間を求めるより、チームワークで各自の強みを生かし、弱みは補完し合う方が、強く、安定した経営にしやすいと言う事です。

竹辺氏を社長にして失敗したのは、やはり、生え抜きを育てずに、外から採用したからでしょう。 歴史の有る企業程、独自の企業文化と商品ノウハウが綿々と引き継がれていて、中々、外からの人が理解するのは大変なのです、特に経営者となると、部下と違う価値を持ちながら仕事をするのですから。